その習慣、本当に合ってる?
結婚が減ったのは、
〇〇だけじゃない!?
「結婚したくない」と答える若い人は増えた。でも、それだけでは、実際に結婚しない人がこんなに増えたことを説明できない。たとえば、「部活に入りたくない」と答えた子は少しなのに、実際には部活に入らない子がずっと多かった、というようなもの。気持ち以外の理由もありそうだ。
専門的に言うと(原典どおりの記録)
結婚の意思は確かに下がっている。ただし下がった幅は、実際に結婚しなかった人の増えた幅にまったく足りていない
- 対象
- 意思の側は、令和3年国民生活基礎調査の調査区から無作為抽出した全国1,000調査区に住む18歳以上55歳未満の独身者のうち18〜34歳(第16回の客体数は男性2,033・女性2,053)。配布14,011票・回収8,401票(回収率60.0%・前回84.5%)・有効7,826票(有効回収率55.9%)。結果の側は国勢調査の全数集計から算出された50歳時(45〜49歳と50〜54歳の平均)の未婚割合で、2015年と2020年は不詳補完値
- 効果
- 「いずれ結婚するつもり」と答えた18〜34歳の未婚者は、男性が1982年95.9%から2021年81.4%(95%CI 79.7〜83.1)、女性が94.2%から84.3%(82.7〜85.9)。「一生結婚するつもりはない」は男性2.3%から17.3%(15.6〜18.9)、女性4.1%から14.6%(13.1〜16.1)。一方、50歳時点で一度も結婚していない人の割合は男性が1980年2.60%から2020年28.25%、女性が4.45%から17.81%。2020年に50歳前後だった世代(1970年前後生まれ)が18〜34歳だった頃の調査(1992・1997・2002年)で「一生結婚するつもりはない」と答えていたのは男性4.9%・6.3%・5.4%、女性5.2%・4.9%・5.0%だった。結婚意思のある25〜34歳が挙げた独身でいる理由の最多は男女とも「適当な相手にまだめぐり会わないから」で男性43.3%・女性48.1%、2位の「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(男性26.6%・女性31.0%)とは16ポイント以上の差がある
- 限界
- 2つの統計は同じ人を追跡しておらず、世代の対応はおおよそのもので厳密なコホート追跡ではない。第16回は回収率が60.0%(前回84.5%)まで下がっており、答えなかった44%の偏りの向きは分からず、報告書に無回答バイアスの補正の記述は見当たらない。調査時期が2021年6月であることについて、報告書自身が「調査を行った時期の特殊な社会状況が、幅広い世代の意識に影響した可能性も示唆される」と書いている。2021年時点で18〜34歳だった人の50歳時点の結果は未観測で、2025年国勢調査に基づく値も本日時点で未公表(人口統計資料集2026年版でも最終年は2020年)。なぜ「めぐり会わない」のかは、この2つの統計からは分からない
- 見立
- 命題は2つのことを言っている。前半の「意思が下がった」は記録と合う。合わないのは後半の「それが結婚の減少の中身である」のほうで、大きさが足りない。結果の出た世代について言えば、結婚しないつもりだった人は5%前後で、実際に結婚しなかった人は男性28.25%。約22ポイントの開きが残り、意思で説明できるのは多く見積もっても5分の1程度である。逆向きの証拠も同じ階層にある。交際相手がいなくて交際も望まない人は2015年から2021年にかけて男性30.2%→33.5%、女性25.9%→34.1%と上がっており、女性の8.2ポイントは無視できない。ただしこれは結果がまだ観測されていない世代の数字である。保留にしなかったのは、両側の証拠が同じL1・同じ国・同じ時代にそろい、データ源もすべて機械取得できたためで、プロトコル §4-3 が保留に挙げる3条件のいずれにも当たらない。この回は結婚の是非を扱わない。数えたのは意思の割合と結果の割合と、本人が挙げた理由の順位だけである
図で読む
動画で使った図解を、セトとミチの会話つきで。1枚ずつ読めば、要点が順に分かります。
ポイント①
「結婚したくない人が増えた」って、どう確かめるの?

セト: 今日は2つの別々の調査を比べます。1つは気持ちを聞いた調査、もう1つは結果を数えた調査です。
ミチ: 気持ちと結果って、違うんですか?
セト: 違います。1つ目は18歳から34歳の人に「結婚するつもりですか」と聞いた調査。1982年から2021年まで、9回続けています。
ミチ: 9回も聞いてるんですね。もう1つは?
セト: 2つ目は国勢調査です。日本に住む全員が対象で、50歳の時点で一度も結婚していない人の割合を数えています。
気持ちを聞いた調査と、結果を数えた調査は別物。同じ人を追いかけていない。
ポイント②
「そのつもり」だった人と、「実際」の差は?

ミチ: さっきの2つの調査、数字は近いんですか?
セト: 近くありません。1992年から2002年にかけての3回の調査で「一生結婚するつもりはない」と答えた人は、男女とも5%前後、20人に1人ぐらいです。
ミチ: 20人に1人……。じゃあ、実際に結婚しなかった人は?
セト: 男性は28.25%、10人に3人ぐらいが結婚しませんでした。
セト: 女性は17.81%、6人に1人ぐらいでした。20人に1人のつもりが、ここまで増えています。
5%前後のつもりが、実際に結婚しなかった人は男性28.25%・女性17.81%まで増えた。
結婚したい人が独身でいる理由、1位は何?

セト: 結婚するつもりの25〜34歳に、独身でいる理由を3つまで選んでもらいました。1位は男女とも同じでした。
ミチ: 気持ちが変わったから、じゃないんですか?
セト: 違います。1位は適当な相手にまだめぐり会わないから。男性43.3%、女性48.1%です。
ミチ: 「適当」って、いい加減でもいい相手のことですか?
セト: いえ、逆です。ここでの「適当」は「ちゃんとした、ふさわしい」という意味です。つまり『したくない』ではなく『できていない』が近いですね。
独身の理由の1位はめぐり会わない。したくないのではなく、できていないほうが近い。
ポイント③
この調べで、まだ言えないことは?

ミチ: さっきの数字、そのまま信じていいんですか?
セト: 気をつけてほしいことが4つあります。1つ目、2つの調査は同じ人を追いかけていません。たとえば、2020年に50歳だった人に、18〜34歳だった頃の古い調査結果を当てはめただけです。
ミチ: 残りの3つは何ですか?
セト: 2つ目、2021年の調査で答えた人は55.9%でした。3つ目、調査した年は、ふだんと違う特別な事情があった年だったかもしれません。4つ目、なぜめぐり会わないのかは、この数字だけでは分かりません。
ミチ: 4つとも、この数字だけじゃ分からないことなんですね……。
同じ人を追いかけた調査ではない。答えた人は55.9%で、答えなかった人の気持ちは分からない。
結局、どういうこと?

ミチ: 結局、結婚したくない人が増えたから結婚しなくなった、で合ってますか?
セト: 半分だけ合っています。言い換えると、気持ちが下がったのは本当ですが、下がった大きさが、結婚しなかった人の増え方には届いていません。
ミチ: 気持ちだけでは説明できない、ということですね。
セト: そうです。5%前後のつもりが、実際には男性28.25%が結婚しませんでした。この番組では、結婚したほうがいいとも、しなくていいとも言いません。
ミチ: 数えることと、良し悪しを決めることは別なんですね。
気持ちの低下は本当。でも下がった大きさは、結婚しなかった人の増え方には届かない。
まとめ(つまり、どう考える?)
気持ちの低下は本当だが小さく、結婚しなかった人の増え方には届かない。結婚した方がいいとも、しなくていいとも言わない。
記事の全文を読む
「若い人は結婚したがらなくなった」を数えたら、そう答えていた人は5%で、実際に結婚しなかった人は28%だった
今回の命題は 「最近の若い人は結婚したいと思わなくなった。結婚する人が減っているのは、その気持ちの変化が中身である」 です。国立社会保障・人口問題研究所のサイトから CSV と Excel を直接落として開きました。
まず意思から。同研究所の出生動向基本調査は、1982年から9回にわたって18〜34歳の未婚者に同じ設問を投げています。「いずれ結婚するつもり」と答えた男性は 1982年95.9%、2021年81.4%。女性は 94.2%から84.3%。「一生結婚するつもりはない」は男性 2.3%から17.3%、女性 4.1%から14.6% へ上がりました。意思が下がっていること自体は記録のとおりで、否定しません。
問題はその次です。国勢調査から算出される「50歳時点で一度も結婚していない人の割合」は、男性で 1980年2.60%、1990年5.57%、2000年12.57%、2010年20.14%、2020年28.25%。女性は 4.45%から17.81% です。
この2つは同じ人を見ていません。意思は18〜34歳が今答えた気持ち、結果は50歳前後の状態です。そこで世代を合わせます。2020年に50歳前後だった人は1970年前後の生まれで、18〜34歳だったのは概ね1988年から2004年。その期間の調査(1992・1997・2002年)で「一生結婚するつもりはない」と答えていたのは、男性4.9%・6.3%・5.4%、女性5.2%・4.9%・5.0%でした。
「結婚しないつもりだった人」は5%前後。「結婚しなかった人」は男性28.25%。 男性で約22ポイント、女性で約13ポイントの開きが残ります。意思で説明できるのは、多く見積もっても5分の1程度です。
理由の側も同じ向きでした。結婚意思のある25〜34歳が挙げた最大の理由は、男女とも 「適当な相手にまだめぐり会わないから」(男性43.3%・女性48.1%)。2位の「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(男性26.6%・女性31.0%)とは16ポイント以上離れています。
逆向きの数字も出します。交際相手がいなくて交際も望まない人は、2015年の男性30.2%・女性25.9%から、2021年には男性33.5%・女性34.1%へ。女性は8.2ポイント上がりました。意思の低下は実在します。 ただしこれは2021年時点で18〜34歳だった人の数字で、その人たちが50歳になったときの結果は、まだ誰も観測していません。
限界を4つ。2つの統計は同じ人を追跡しておらず、世代の対応はおおよそのものです。2021年調査は回収率60.0%(前回84.5%)、有効回収率55.9%で、答えなかった44%の偏りの向きは分かりません。調査時期は2021年6月で、報告書自身が「調査を行った時期の特殊な社会状況が、幅広い世代の意識に影響した可能性も示唆される」と書いています。そして、なぜ「めぐり会わない」のかは、この2つの統計では分かりません。
判定は不支持です。 命題の前半(意思が下がった)は記録と合いますが、後半(それが結婚の減少の中身である)は大きさが合いません。結婚したほうがいいともしなくていいとも言いません。数えたのは、意思の割合と、結果の割合と、本人が挙げた理由の順位だけです。そして数え終わったあとに、記録では説明されていない22ポイントが残ります。
出典:「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」および「人口統計資料集(2024年版)表6-23」(国立社会保障・人口問題研究所)を加工して ReeX Japan が作成(2026年9月10日に利用)。表6-23 の原資料は総務省統計局『国勢調査報告』。
出典・研究の限界・ライセンス表示
この回の一次データは公的統計です。学術論文の論文カードはありません。
出典表示(ライセンス表示義務)
この回が使った一次情報の利用条件が求める4項目を、出典ごとに全件出しています(2件)。
データカード: 1-2. データカード(一次情報・主たる評価対象)[1枚目]
- 著者
- 国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省の施設等機関)
- 出典
- 第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)・独身者調査/https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp
- ライセンス
- 公共データ利用規約(第1.0版)PDL1.0(同研究所「サイトのご利用にあたって」に明記。出典の記載が必要、編集・加工した場合はその旨を出典とは別に記載する義務あり、引用許可の申請は不要)。URL: https://www.ipss.go.jp/site-ad/link/anlink.html
- 改変の有無
- この回の図解は、原典の図の複製ではなく、原典の表から転記した数値をもとに当方が作図した(転記元: 「人口統計資料集(2024年版)」表6-23「性別50歳時の未婚割合,有配偶割合,死別割合および離別割合:1920〜2020年」(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Data/Popular2024/T06-23.xlsx (2026年9月10日に利用)を加工して ReeX Japan が作成。原資料は総務省統計局『国勢調査報告』で、45〜49歳と50〜54歳における割合の平均値。再利用条件は公共データ利用規約 第1.0版(PDL1.0))。原本の出典表記が、原典データを加工して当方が作成した旨を明示している(下の「原本の出典表記」を参照)。
データカード: 1-2. データカード(一次情報・主たる評価対象)[2枚目]
- 著者
- 国立社会保障・人口問題研究所
- 出典
- 人口統計資料集(2024年版)表6-23「性別50歳時の未婚割合,有配偶割合,死別割合および離別割合:1920〜2020年」/https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Data/Popular2024/T06-23.xlsx
- ライセンス
- 同上(PDL1.0)
- 改変の有無
- 原本の出典表記が、原典データを加工して当方が作成した旨を明示している(下の「原本の出典表記」を参照)。
原本の出典表記(読み上げ・画面表示用の文言)
- 出典:「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp (2026年9月10日に利用)を加工して ReeX Japan が作成
- 出典:「人口統計資料集(2024年版)表6-23」(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Data/Popular2024/T06-23.xlsx (2026年9月10日に利用)を加工して ReeX Japan が作成。原資料は総務省統計局『国勢調査報告』
検証の記録(常識検証プロトコル v1.0)
命題化テスト(T1〜T5)
命題を選ぶ前に、次の5項目を通した。T4 の自己申告は、命題を採用するかどうかを決める前に書いた。
| # | テスト | 本話での判定 |
|---|---|---|
| T1 | 「Xすると Y になる」に書き直せるか | 合格。 「世代が新しくなる(X)と、結婚したいと思う人が減り、それが結婚しない人の増加の中身になっている(Y)」に書き直せる |
| T2 | Y が観測できる形になっているか | 合格。 Y は2つとも公的統計に数値で残っている。①18〜34歳の未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」「一生結婚するつもりはない」と答えた割合(出生動向基本調査・1982年から2021年まで9回)②50歳時点で一度も結婚していない人の割合(国勢調査から算出・1920年から2020年まで) |
| T3 | 一次データ源が存在しそうか(あたり2本以上) | 合格。 着手前に ①国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」 ②同研究所「人口統計資料集」経由の国勢調査集計(50歳時の未婚割合)と人口動態統計(婚姻件数)、の2系統を立てた。いずれも L1(公的機関が自ら測って公開した統計) で、機械取得できる形(CSV・xlsx)で配布されている |
| T4 | どちらに転んでも番組になるか(自己申告を先に書く) | 「支持なら、結婚が減ったのは気持ちが変わったからで、数える先は意識だという回になる。不支持なら、『したくない』ではなく『したいのにできていない』のほうが大きく、探すべき原因が別にあるという回になる。保留なら、意思を測った調査と結果を測った調査が別物すぎて重ねられない、という『比べ方』の回になる。どれでも番組は成立する。」(本文はこの後に続く) |
| T5 | YMYL 該当か(健康・医療・金銭・法律) | 非該当。 健康・医療・金銭・法律のいずれにも当たらない。ただし個人の生き方に直結する題材のため、§8 の精神(個別の助言をしない・評価を書かない)は自主的に全項目適用する |
証拠台帳
```
検証回ID: M10-20260919-12
命題: 「最近の若い人は結婚したいと思わなくなった。結婚する人が減っているのは、その気持ちの変化が中身である」
命題の出所: 『第16回出生動向調査 結果の概要』(国立社会保障・人口問題研究所・2022年9月9日公表)7ページ、および婚姻件数・50歳時未婚割合の公表値
判定: 不支持
判定日: 2026-09-10
```
| # | 階層 | 種別 | 出典名 | URL | 実測日時(JST) | HTTP | 取得方法 | 再利用条件 | 採否 | 採否の理由 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | L1 | 公的調査の結果概要 | 第16回出生動向基本調査 結果の概要(PDF・4,200行相当) | https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf | 2026-09-10 10:38 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用 | 命題の出所と、調査設計・回収率・報告者自身の解釈の転記元 |
| 2 | L1 | 公的調査の元データ | 報告書図表1-1-1 調査別にみた、未婚者の生涯の結婚意思(CSV・cp932) | https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/db_16/16HoukokuBaseData/houkokuFigure1_1_1.csv | 2026-09-10 10:44 | 200 | curl → Python csv | PDL1.0 | 採用 | 判定の主柱1。9回分の時系列と95%信頼区間が機械可読で載っている |
| 3 | L1 | 公的統計の集計表 | 人口統計資料集2024年版 表6-23(50歳時の未婚割合・国勢調査より算出) | https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Data/Popular2024/T06-23.xlsx | 2026-09-10 10:52 | 200 | curl → zipfile + ElementTree | PDL1.0 | 採用 | 判定の主柱2。意思ではなく結果の側を測った唯一の全数系統 |
| 4 | L1 | 公的調査の元データ | 報告書図表1-3-2 調査・年齢別にみた、各「独身でいる理由」を選択した未婚者の割合(CSV) | https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/db_16/16HoukokuBaseData/houkokuFigure1_3_2.csv | 2026-09-10 10:44 | 200 | curl → Python csv | PDL1.0 | 採用 | 「したくない」と「できていない」を分ける材料 |
| 5 | L1 | 公的調査の元データ | 報告書図表2-1-2 調査・年齢別にみた、交際相手をもたない未婚者の割合と交際の希望(CSV) | https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/db_16/16HoukokuBaseData/houkokuFigure2_1_2.csv | 2026-09-10 10:55 | 200 | curl → Python csv | PDL1.0 | 採用(反証側の材料として) | 命題を支持する向きの数字。交際を望まない割合の上昇 |
| 6 | L1 | 公的統計の集計表 | 人口統計資料集2024年版 表6-1(初婚・再婚別婚姻数および婚姻率:1900〜2022年) | https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Data/Popular2024/T06-01.xlsx | 2026-09-10 10:53 | 200 | curl → zipfile + ElementTree | PDL1.0 | 採用(背景として) | 婚姻件数は人口規模の影響を受けるため、判定の主柱には使わず背景に留めた |
| 7 | L1 | 正誤表 | 第15回出生動向基本調査 結果報告書【正誤表】2022年3月14日版 | https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15R_errorsheet.pdf | 2026-09-10 10:57 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用(R3 の確認として) | 本話が使う第15回の数値に訂正がかかっていないかの確認 |
| 8 | L1 | 公的統計の集計表 | 人口統計資料集2026年版 表6-23 | https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Data/Popular2026/T06-23.xlsx | 2026-09-10 10:56 | 200 | curl → zipfile + ElementTree | PDL1.0 | 採用(R2 の確認として) | 最新版でも2020年が最終年であることの確認 |
| 9 | L3 | 行政の政策ページ | こども家庭庁「少子化対策」 | https://www.cfa.go.jp/policies/shoushika | 2026-09-10 10:59 | 200 | curl → Python 文字列カウント | 各府省の利用規約 | 不採用 | 命題の流通を確かめるために取得したが、対象5語すべて0回。根拠には使わない |
| 10 | L3 | 行政の白書ページ | 旧内閣府 少子化社会対策白書 索引 | https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/index.html | 2026-09-10 10:59 | 404 | curl | — | 不採用 | 到達できず。「無い」とは断定しない |
| 11 | L2 | 査読付き文献データベース | Europe PMC 検索(日本の婚姻の減少とその要因) | https://www.ebi.ac.uk/europepmc/webservices/rest/search | 2026-09-10 10:50 | 200 | curl → REST API | 各論文のライセンスによる | 不採用 | 検索式 (Japan AND (marriage OR "never married" OR nuptiality) AND (decline OR trend)) AND OPEN_ACCESS:Y AND (PUB_YEAR:[2015 TO 2026]) で 4,182件。上位15件を目視したが、本命題(意思の低下が結婚の減少の中身か)を直接検証した研究は無かった。詳細は R1 |
反証チェック(R1〜R7)
| R# | 探した対象 | 探した範囲(検索式・DB名・年範囲) | 結果 |
|---|---|---|---|
| R1 | 反対の結論の一次データ(=意思の低下そのものを示すもの) | ①同じ調査の図表2-1-2(交際相手なし・交際を望まない)の2015年と2021年の比較 ②同 図表1-3-2 の「結婚する必要性をまだ感じないから」「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」 ③Europe PMC REST API・検索式 (Japan AND (marriage OR "never married" OR nuptiality) AND (decline OR trend)) AND OPEN_ACCESS:Y AND (PUB_YEAR:[2015 TO 2026])・4,182件中上位15件を目視 | 該当あり(→台帳#5・#4)。 交際を望まない割合は男性30.2%→33.5%、女性25.9%→34.1%へ上がっている。女性は8.2ポイントの上昇で、無視できない大きさである。 「一生結婚するつもりはない」も男性12.0%→17.3%、女性8.0%→14.6%と上がった。意思の低下は実在する。 ただしその大きさが結果を説明するかは別問題であり、R4 と §1-5 で扱う。Europe PMC 側は、本命題を直接検証した研究が上位15件に無かった(人口学の専門誌は未検索・「未確認」に記載) |
| R2 | より新しい/より大きいデータ | ①人口統計資料集2026年版の表6-23 を取得し、最終年を確認(台帳#8) ②第17回出生動向基本調査の公表ページを2つの URL パターンで探索(doukou17_gaiyo.asp・doukou17.asp) | 該当なし。 2026年版でも50歳時未婚割合の最終年は2020年のままで、2025年国勢調査に基づく値は未公表。第17回調査のページは両方とも HTTP 404 で、本日時点で公表されていない。本話が使った第16回(2021年)と2020年国勢調査が、現時点で最も新しい |
| R3 | 撤回・取消・訂正 | ①第16回の調査ページに掲載されている正誤情報リンクをたどり、第15回結果報告書の正誤表(2022年3月14日版・全445行)を取得して全文検索 ②検索語「結婚意思」「いずれ結婚」「一生結婚」「独身でいる理由」「図表1-1」 | 該当あり(ただし本話の数値には無関係)。 正誤表に載っているのは、集計表の設問文・選択肢の誤字と表記ミス(結婚の利点の脱字、一年以内の結婚意思の選択肢表記、結婚の障害の選択肢表記など)と、図表Ⅰ-1-14 への注の追加である。本話が使う「生涯の結婚意思」の割合そのものに訂正はかかっていない。 第16回の正誤情報は最終更新2022年3月14日で、本話が使う図表の訂正は含まれていない |
| R4 | 測っていた指標のすり替え | 命題の Y(「結婚したいと思わなくなった」)と、2つのデータが測っている Y を並べて確認 | 該当あり。これが本話の中心である。 ①出生動向基本調査が測っているのは18〜34歳の未婚者が、その時点で答えた意思である。②表6-23 が測っているのは50歳前後で実際に一度も結婚していない状態である。この2つは、同じ人を追いかけた数字ではない。 そして命題は、①の変化で②の変化を説明しようとしている。世代を大まかに合わせると、②の2020年の値(男性28.25%)に対応する人たちは1970年前後の生まれで、18〜34歳だったのは概ね1988年から2004年。その期間の調査(第10回1992・第11回1997・第12回2002)で「一生結婚するつもりはない」と答えていたのは男性4.9%・6.3%・5.4%、女性5.2%・4.9%・5.0%である。 意思と結果の差はここに出る |
| R5 | 資金源 | 両データとも作成者と原資料を確認 | 利害関係者ではない。 出生動向基本調査も人口統計資料集も国立社会保障・人口問題研究所が作成し、表6-23 の原資料は総務省統計局『国勢調査報告』。結婚を増やしたい/減らしたい側の資金で作られた統計ではない。 ただし少子化対策の基礎資料として使われる統計であることは、記録しておく |
| R6 | 母集団のズれ | 対象者の国・年齢・抽出方法を視聴者と突き合わせ | ズれは小さい。 出生動向基本調査は日本全国の1,000調査区から無作為抽出した18歳以上55歳未満の独身者で、本話が使ったのはそのうち18〜34歳。国勢調査は日本に住む全員が対象。本番組の視聴者と同じ国・同じ時代である。 これは第11話(成人一般・実施国不明の海外試験17件)などと比べて、はっきり有利な点である。ただし2021年6月という調査時期は感染症の流行下であり、報告書自身が「調査を行った時期の特殊な社会状況が、幅広い世代の意識に影響した可能性も示唆される」と書いている(結果の概要7ページ・[引用]) |
| R7 | 生存者バイアス/出版バイアス | 回収率と無回答の扱いを確認 | 該当あり。 第16回の独身者調査は回収率60.0%(前回84.5%)、有効回収率55.9%まで下がっている。答えなかった44%がどちら向きだったかは分からない。 結婚に関心の薄い人ほど答えなかったのなら意思の低下は過小評価に、逆なら過大評価になる。報告書に無回答バイアスの補正の記述は見当たらなかった。なお50歳時未婚割合の側は国勢調査の全数集計を基にしており、この偏りは受けない(2015年・2020年は不詳補完値である点は明記されている) |
判定理由
判定: 不支持(画面表示は「反証」)
理由を3つに分けて書く。
1. 意思が下がっていること自体は、否定しない。 「いずれ結婚するつもり」は男性で1982年の95.9%から2021年の81.4%へ、女性で94.2%から84.3%へ下がった。「一生結婚するつもりはない」は男性2.3%から17.3%へ、女性4.1%から14.6%へ上がった。2015年から2021年にかけての動きはとくに大きい。ここは命題の言うとおりである。
2. しかし、下がった幅が、結果の増えた幅にまったく足りていない。 2020年に50歳前後だった人たち、つまり1970年前後に生まれた人たちが18〜34歳だった頃の調査で「一生結婚するつもりはない」と答えていたのは、男性で4.9%(1992年)・6.3%(1997年)・5.4%(2002年)、女性で5.2%・4.9%・5.0%である。その人たちが実際に50歳時点で未婚だった割合は、男性28.25%・女性17.81%。 男性で約22ポイント、女性で約13ポイントの開きがある。「結婚しないつもりだった人」は5%前後で、「結婚しなかった人」は28%だった。 意思で説明できるのは、多く見積もっても5分の1程度にとどまる。
3. 結婚意思のある人が挙げた最大の理由も、意思ではなく機会だった。 25〜34歳で最も多かったのは男女とも「適当な相手にまだめぐり会わないから」(男性43.3%・女性48.1%)である。2位以下は男性が「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」26.6%、女性が「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」31.0%で、いずれも1位とは16ポイント以上の開きがある。
したがって、命題の前半(意思が下がった)は記録と合うが、後半(それが結婚の減少の中身である)は記録と合わない。 命題は、下がった意思の大きさを実際より大きく見積もっている。
支持側に倒さなかった理由: R1 で見たとおり、交際を望まない割合の上昇(女性で8.2ポイント)と「一生結婚するつもりはない」の上昇は実在し、命題を支持する向きの証拠である。しかしこれらはいずれも2021年時点の18〜34歳の数字であり、その人たちの50歳時点の結果はまだ観測できていない(§「未確認」)。観測できる世代についてだけ言えば、意思では足りない。
保留に倒さなかった理由: 両側とも同じ L1 で、母集団のズれも小さく、データ源はいずれも A 判定(機械取得できた)である。プロトコル §4-3 が保留の条件に挙げる3つ(両側とも L3 以下/母集団がズれている/データ源が D)のどれにも当たらない。 決着が付かないから保留にする回ではなく、意思と結果の差がはっきり数えられる回である。
この回で言えないこと: なぜ「めぐり会わない」のかは、この2つの統計では分からない。本話はそこへ踏み込まない。
