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シューカンアカデミア
学び9/22(火) ・ ノミヤ公開中

その習慣、本当に合ってる?

自分に合う勉強法、
その根拠は〇〇!?

目で覚えるタイプ、耳で覚えるタイプなど、その人に合わせて教えると、成績は少しだけ上がった。でも「本当にタイプに合わせたおかげ」と言える証拠は、わずかしかなかった。たとえば、新しい勉強法で点が上がっても、先生がていねいになっただけかもしれない、というようなもの。

だれ・何を調べた?学習スタイル(視覚型・聴覚型など)で分けて、合う教え方と合わない教え方を比べた実験を21件集めた。参加者は1,712人で、大学生が中心。アメリカの小学5年生125人の実験では、タイプに合わせても差は出なかった。
何がわかった?21の実験を合算すると、合わせた教え方は、合わせない教え方を小さな差(0.32)で上回った。「本当に合わせたおかげ」と言えるかを42の比較で確かめたら、そう言えたのは11(4分の1)だけだった。たとえば、新しい勉強法を試したクラスの点が少し上がっても、それが勉強法のおかげか、ほかの理由かを確かめると、勉強法のおかげと言えたのは4回に1回だけだった、という感じです。
まだわからないこと質の基準を満たした研究は21のうち5だけ。数日後に覚えているかは、どの実験も測っていない。分けられない人は記録から外れている。たとえば、テストの直後の点だけを見て、何日かたっても覚えているかを確かめていない、ということです。
専門的に言うと(原典どおりの記録)

視覚型・聴覚型など「自分のタイプ」に合わせた教え方は、21の実験を合算すると小さな差(効果量0.32)で合わせない教え方を上回った。ただしタイプごとに向きが変わる「交差」が出た指標は42のうち11で、質の基準を満たした研究は21のうち5、測ったのはどれも1回きりの短期成績で、定着は測られていない

対象
メタ分析は Pashler ら(2008)の基準にほぼ沿った21研究・101効果量・1,712人(大学生が中心。小学5年生2研究・高校生1研究・訓練生パイロット1研究・医学生1研究。英語文献のみ)。参加者を質問紙で2つ以上の学習スタイルに分け、合った条件と合わない条件を同じテストで比べた研究だけを組み入れ、無作為化でない準実験2件を含む。反対向きの実験はアメリカの1校の5年生(参加125人・はっきり分類できた34人を分散分析)。教員の調査はイギリス137人・オランダ105人の計242人
効果
合わせた教え方は合わせない教え方を Hedges' g = 0.32(SE 0.12・95%信頼区間 0.07〜0.57・p = 0.01)で上回った(要旨の表記は 0.31・0.05〜0.57・p = 0.02)。運動感覚型の1研究を除くと 0.34(0.08〜0.60)、準実験2件を除くと 0.33(0.05〜0.61)。研究間のばらつきは I² = 91.17。命題が要求する「交差」(合わせた側が上、が2つ以上のスタイルで同時に出る)が出た指標は42のうち11(26.19%)、統計の無い12研究では4(25.00%)。Cuevas & Dawson(2018・183人)では「思い浮かべて覚える」条件がどちらのスタイルでも高く、効果量は聴覚型に合わせた側 −2.87・視覚型に合わせた側 2.13。What Works Clearinghouse の基準を満たした研究は21のうち5。Egger 検定 b = −0.058(p = 0.11)。5年生の実験では教え方×スタイルの交互作用 F(1, 38) = 1.16・p = 0.29 で交差なし、視覚型(平均 39.07)が聴覚型(28.58)より聞く条件でも読む条件でも高かった。教員の調査ではこの考えに同意した教員がイギリス 93%・オランダ 96%
限界
21研究すべてが単回セッションで、数日〜数週間後の定着を測った研究は無い。測定の信頼性が報告されていない研究が大半で、交差を示した研究の大半は質の基準を満たしていない。85%の研究がスタイルを確信を持って分類できない参加者を除外しており、残った標本は「はっきりしたタイプの人」に偏る。学習の前にスタイルを測って本人に伝えた研究が大半(後に測ったのは3研究)で、「自分は視覚型だ」と知った期待の効果を分離できていない。分類の質問紙もカットオフも研究ごとに違う。英語文献に限られ、日本の研究は含まれない。メタ回帰で有意な調整変数が無く、ばらつきの源は不明。要旨と本文で合算値が食い違う(0.31/0.32)。5年生の実験は1校のみで34人。特定の診断テストが当たっているかどうかは検証していない
見立
支持側と反対側の証拠が同じ L2 の階層で、しかも同じ論文の中で食い違っている。合算すれば 0.32 で下限も 0 より上、感度分析でも消えず、出版バイアスの検定でも偏りが出ない。ここだけ見れば支持。しかし命題が「合わせる」ことの効果である以上、必要なのは交差であり、それが出た指標は 4 分の 1 で、著者自身が「結論にはほど遠い」「合わせることを正当化するために本研究を使うことには極めて慎重であるべき」と書いている。ここだけ見れば不支持。質の基準を満たす研究は 5 本、全研究が 1 回きりで定着は測られていない。反対向きの実験は 1 校 34 人で、1,712 人の合算を打ち消す大きさではない。したがって判定保留。保留の主題は「合わせると上がる」と「ある教え方が誰にでも良い」を見分ける方法(交差)と、その見分けが 4 分の 1 でしか付いていないこと。特定の診断テストの良し悪し、数週間続けたらどうなるか、日本で同じかは言えない。あなたはこのタイプだからこう勉強しなさい、は番組は一切言わない

図で読む

動画で使った図解を、ノミヤとミチの会話つきで。1枚ずつ読めば、要点が順に分かります。

ポイント①

図1

「合わせる」効果を、どうやって確かめた?

6,299件から絞り込んで、条件に合う実験は《21研究》だけだった。
ノミヤ

ノミヤ: ミチさんは自分を視覚型だと思いますか、聴覚型だと思いますか。

ミチ

ミチ: 図で見ると分かった気になるので、視覚型でしょうか。でも、それ、測ったことあるんですか?

ノミヤ

ノミヤ: そこを測りに行きます。見つかった論文は6,299件、重複を除くと1,810件です。

ミチ

ミチ: そんなに絞られるんですか。

ノミヤ

ノミヤ: 全文を読んだのが40件。つまり、ほとんどの論文は条件に合わなかった、ということです。最後に残ったのは21研究、参加者は1,712人でした。

ポイント

6,299件から絞り込んで、条件に合う実験は21研究だけだった。

ポイント②

図2

合わせた教え方は、どれだけ上回った?

どう削っても《0.32〜0.34》。合わせた教え方のほうが、テストの点は少しだけ高かった。
ノミヤ

ノミヤ: 21研究を合算すると、合わせた教え方が、合わせない教え方を効果量0.32で上回りました。

ミチ

ミチ: 効果量0.32って、全然分かりません。

ノミヤ

ノミヤ: もっと分かりやすく言うと、点の差を、点のばらつきで割ったものです。0なら差なし、1ならかなり大きい。0.32は小さいけれど、ゼロではありません。

ミチ

ミチ: その0.32は、条件を変えても同じくらいなんですか?

ノミヤ

ノミヤ: はい、あまり動きません。体を動かして覚える実験を1つ除くと0.34です。くじ引きで実験に割り振った研究だけにしても0.33でした。

ポイント

どう削っても0.32〜0.34。合わせた教え方のほうが、テストの点は少しだけ高かった。

図3

本当に「合わせたから」上がった、と言える指標は?

合算の数字(0.32)と、〈合わせたから上がったと言える割合〉は、同じデータからの別の指標。
ノミヤ

ノミヤ: この考えが本当なら、視覚型は図で、聴覚型は音で、それぞれ点が高くなるはずです。これを交差と呼びます。

ミチ

ミチ: 交差。線が交わる、ということですか?

ノミヤ

ノミヤ: そうです。各実験で、図が高いか、音が高いかを比較しました。比較は42個です。そのうち、合わせた側が2つ以上のタイプで同時に上だったのは11。およそ4分の1だけでした。

ミチ

ミチ: 残りの4分の3はどうなったんですか?

ノミヤ

ノミヤ: 183人の実験では「思い浮かべて覚える」条件が、聴覚型でも視覚型でも点が高かったんです。効果量は聴覚型で−2.87、視覚型で2.13で、0.32よりずっと大きく振れています。符号が逆なのは、この条件が誰にでも良かったからです。

ポイント

合算の数字(0.32)と、合わせたから上がったと言える割合は、同じデータからの別の指標。

ポイント③

図4

この記録で、まだ言えないことは?

質の基準を満たした研究は21のうち5、定着を測った研究は0。〈分けられない人〉は記録から外れている。
ミチ

ミチ: 研究の質は、どうなんですか?

ノミヤ

ノミヤ: 教育研究の質の基準を満たした研究は、21のうち5だけです。

ミチ

ミチ: 数日後も覚えているか、は測っていますか?

ノミヤ

ノミヤ: 測っていません。21研究、全部1回きりのテストです。それと、85%の研究が、はっきり分類できない参加者を除いてから分析しています。

ミチ

ミチ: 分けられない人のほうが、多いかもしれないのに。

ポイント

質の基準を満たした研究は21のうち5、定着を測った研究は0。分けられない人は記録から外れている。

図5

つまり、どういうことか?

合算では小さくプラス、ただし〈合わせたから上がった〉と言える指標は4分の1。今日の判定は「保留」。
ミチ

ミチ: では、判定はどうなるんですか?

ノミヤ

ノミヤ: 判定保留です。合算すれば0.32でプラス、交差で数えれば4分の1。同じデータから出た2つの指標が、向きを違えています。

ミチ

ミチ: つまり、決め手が足りない、ということですね。

ノミヤ

ノミヤ: そのとおりです。それと、あなたはこのタイプだから、こう勉強しなさいは、この番組は一切言いません。

ポイント

合算では小さくプラス、ただし合わせたから上がったと言える指標は4分の1。今日の判定は「保留」。

まとめ(つまり、どう考える?)

合算では少し上がるが、合わせたからと言える証拠は4分の1しかない。決め手が足りず、今日の判定は保留とした。

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記事の全文を読む

「自分に合った勉強法」を21の実験で数えたら、合わせた側が上回ったのは42の指標のうち11だった

今回の命題は 「自分の学習スタイル(視覚型・聴覚型など)に合った方法で教わると、合わない方法で教わるより成績が上がる」 です。出所は2012年の新書『医師のつくった「頭のよさ」テスト』と、教育事業の会社の媒体3本。2012年にイギリスとオランダの教員242人に尋ねた調査では、この考えに同意した教員は 93%と96% でした。

命題が本当なら、実験ではこうなるはずです。参加者を質問紙で視覚型と聴覚型に分け、図で教える条件と音で教える条件にくじ引きで割り付け、同じテストをする。視覚型は図が、聴覚型は音が高くなり、線が交差する。この「交差」が出て初めて「合わせた」から上がったと言えます。どちらも図が高ければ、図が誰にでも良かっただけです。

2024年に、この設計の実験を5つの文献データベースから探して合算した論文が出ました。6,299件から絞り込んだ 21研究・1,712人。合算すると、合わせた教え方は合わせない教え方を効果量 0.32(95%信頼区間 0.07〜0.57)で上回りました。小さいけれど、ゼロではありません。

ところが交差を数えると、「合わせた側が上」が2つ以上のタイプで同時に出た指標は 42のうち11(26.19%)。183人の大学生の実験では「文を思い浮かべて覚える」条件がどちらのタイプでも高く、効果量は聴覚型に合わせた側で−2.87、視覚型に合わせた側で2.13と符号が逆でした。著者自身が「合わせることの利点は小さすぎて、まれすぎて、広く採用することを正当化しない」「本当に利点があるかは結論にはほど遠い」と書いています。

限界を4つ。教育研究の質の基準を満たした研究は21のうち 5。交差が出た研究の大半は基準を満たしていません。21研究すべてが1回きりのセッションで、数日後・数週間後の定着を測った研究は1つもありません。85%の研究が、タイプをはっきり分類できない参加者を分析から外しています。学習の前にタイプを測って本人に伝えた研究が大半で、「自分は視覚型だ」と知った期待が点に混ざる可能性を分離できていません。

反対向きの記録もあります。2020年、アメリカの1校の5年生125人に同じ文章を聞く条件と読む条件で受けてもらった実験では交差は出ず、視覚型の子どもはどちらでも高く、交互作用は p = 0.29。はっきり分類できたのは34人で、3人に2人は分けられませんでした。

判定は保留です。 合算すれば0.32でプラス、交差で数えれば4分の1。同じデータから出た2つの指標が向きを違え、質の基準を満たす研究は5本、定着を測った研究はありません。反対向きの実験は1校34人で、1,700人の合算を打ち消す大きさでもありません。特定の診断テストが当たっているか、合わせた教え方を数週間続けたらどうなるか、日本で同じかどうかは、この記録には書いてありません。

出典: Clinton-Lisell V, Litzinger C. (2024) Frontiers in Psychology 15:1428732/Rogowsky BA ほか (2020) 同誌 11:164/Dekker S ほか (2012) 同誌 3:429(いずれも CC BY・2026年9月14日に利用)を加工して ReeX Japan が作成(要約・抜粋・和訳)。

出典・研究の限界・ライセンス表示

合算した効果(21研究・101効果量・1,712人・[引用])

項目値
合わせた教え方と合わない教え方の差(Hedges' g・本文 Results 節)0.32(SE 0.12、95%信頼区間 0.07〜0.57、p = 0.01)
同じ値の要旨での表記0.31(SE 0.12、95%信頼区間 0.05〜0.57、p = 0.02)。要旨と本文で値が食い違う(R3 に記録)
研究間のばらつきτ² = 0.77、I² = 91.17
依存の仮定(ρ = 0〜1)を変えた感度分析g は 0.33(ρ = 0)から 0.32(ρ = 0.2〜1)で一定
運動感覚型に合わせた唯一の研究(Papanagnou ら 2016)を除くg = 0.34(95%信頼区間 0.08〜0.60、p = 0.01)・20研究・98効果量
無作為化でない準実験2件を除くg = 0.33(95%信頼区間 0.05〜0.61、p = 0.02)・19研究・91効果量
出版バイアス漏斗プロットはおおむね対称。Egger の切片検定 b = −0.058(95%信頼区間 −0.52〜0.41、p = 0.11)。著者は「出版バイアスが正の効果の理由とは見えない」と記述

交差(クロスオーバー)の頻度([引用])

項目値
「合わせた側が上回る」が2つ以上のスタイルで同時に出た指標(=命題が要求する交差)42の指標のうち 11(26.19%)
効果量を計算できる統計が無く、記述だけで判定した12研究のうち交差が示唆されたもの4(25.00%)
交差が出た研究の共通点著者は「対象(大学生・小学生・パイロット訓練生)、分類の質問紙、内容と測定がいずれもばらばらで、交差を生む仕組みを説明できる共通の特徴は見当たらない」と記述

交差が出なかった型の例(本文 Literature review 節と Table 2・[引用]): Cuevas & Dawson(2018・183人)では、文を「思い浮かべて」覚える条件(視覚型に合わせた条件)が、「音を考えて」覚える条件(聴覚型に合わせた条件)より、どちらのスタイルの学生でも成績が高かった。Table 2 の効果量は、聴覚型(118人)で −2.87、視覚型(65人)で 2.13。つまり片方の教え方が誰にでも良かっただけで、「合わせる」効果ではない。

調整変数と研究の質([引用])

項目値
メタ回帰(研究デザイン・スタイルの種類・教材と測定の様式が同じか・研究の質)いずれも有意でない(Table 5)。「合算した結果のばらつきの源は不明」
What Works Clearinghouse の基準を満たした研究21研究のうち 5。残りは満たさない(大半は測定の信頼性が報告されていないため)
参加者の一部を最終標本から除いた研究85%(スタイルの分類が確信を持ってできない参加者を除外)
学習スタイルの測定を学習活動の後に行った研究3研究のみ
セッションの長さ全研究が単回セッション。長期の効果は判断できない
灰色文献(学位論文など)21研究のうち 2

他の教え方の工夫との比較(著者が Discussion で引いた他のメタ分析の値・[引用]): 図と一緒に文章を「読む」のではなく「聞かせる」工夫(モダリティ効果)の g は 0.70、授業から無関係な情報を削る工夫は 0.33、区切って自分のペースで進めさせる工夫は 0.32、マルチメディア設計の原則の全体は 0.28。著者は「学習スタイルに合わせる工夫(0.32)は、これらと同じか小さい大きさで、しかも2種類以上の教材を作る手間が要る」と書いている。

著者自身が挙げた限界

  1. 測定の信頼性が報告されていない研究が大半。 原文は「the majority of the outcome measures did not have reliability metrics reported」。研究の質の評価で「基準を満たさない」となった主因はこれである。
  2. すべて単回セッションで、長期の効果は分からない。 原文は「The studies were all single sessions in duration and subsequently claims about long-term effects cannot be determined from the meta-analysis」。
  3. ばらつきの源が説明できていない。 メタ回帰で有意な調整変数が無く、著者は検出力不足の可能性を挙げている。
  4. 英語で公表された研究に限った。 他の言語を含めれば結果が変わりうる。
  5. 灰色文献が2件しか無く、データ提供に応じた著者の偏りもありうる。 出版バイアスの検定では検出されなかったが、著者は「それでも考慮すべき問題」と書いている。
  6. 分類の方法が研究ごとに違う。 質問紙もカットオフも異なり、一般化が難しい。学習活動の前にスタイルを測って本人に知らせた研究が大半で、「自分は視覚型だ」と知ったことによる期待の効果を分離できていない。
  7. 著者の結論([引用]): 「Given the high amount of variability in the findings and infrequent crossover interactions, it is far from conclusive that there is actually a benefit to matching the modality of instruction to students' learning styles.」(ばらつきの大きさと交差の少なさから、教え方の様式を学習スタイルに合わせることに本当に利点があるかは、結論にはほど遠い)。「We advise extreme caution if using the findings from this meta-analysis to justify matching instruction to learning styles.」

出典表示(ライセンス表示義務)

この回が使った一次情報の利用条件が求める4項目を、出典ごとに全件出しています(1件)。

論文カード: 1-2. 論文カード(一次情報・主たる評価対象=判定の主柱)

著者
Clinton-Lisell V, Litzinger C.(Europe PMC 応答 authorString からの転記)
出典
Is it really a neuromyth? A meta-analysis of the learning styles matching hypothesis/Frontiers in Psychology(ISSN 1664-1078)/査読済み・系統的レビュー(Europe PMC の pubType は Systematic Review)/第15巻・論文番号 1428732(2024年)/2024年(受理 2024-06-17・公開 2024-07-10)/DOI: 10.3389/fpsyg.2024.1428732
ライセンス
CC BY(Europe PMC license: cc by。全文 XML の license 文は「This is an open-access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License (CC BY). The use, distribution or reproduction in other forums is permitted, provided the original author(s) and the copyright owner(s) are credited and that the original publication in this journal is cited」)。商用利用可・出典表記が義務。抽出データと R コードは OSF(https://osf.io/5heum/ )で公開
改変の有無
この回の図解は、原典の図の複製ではなく、原典の表から転記した数値をもとに当方が作図した(転記元: Clinton-Lisell V, Litzinger C. (2024) Is it really a neuromyth? A meta-analysis of the learning styles matching hypothesis. Frontiers in Psychology 15:1428732. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1428732 (CC BY・2026年9月14日に利用)を加工して ReeX Japan が作成(本文 Results 節と Sensitivity analysis 節の3つの推定値を抜粋・和訳。値は論文のまま)。命題が要求する「交差」が出た指標は42のうち11(26.19%)で、著者は「結論にはほど遠い」と記述)。原本の出典表記が、原典データを加工して当方が作成した旨を明示している(下の「原本の出典表記」を参照)。

原本の出典表記(読み上げ・画面表示用の文言)

  • 出典: Clinton-Lisell V, Litzinger C. (2024) Is it really a neuromyth? A meta-analysis of the learning styles matching hypothesis. Frontiers in Psychology 15:1428732. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1428732 (CC BY・2026年9月14日に利用)を加工して ReeX Japan が作成(要約・抜粋・和訳)
  • 出典: Rogowsky BA, Calhoun BM, Tallal P. (2020) Providing Instruction Based on Students' Learning Style Preferences Does Not Improve Learning. Frontiers in Psychology 11:164. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.00164 (CC BY・2026年9月14日に利用)
  • 出典: Dekker S, Lee NC, Howard-Jones P, Jolles J. (2012) Neuromyths in Education: Prevalence and Predictors of Misconceptions among Teachers. Frontiers in Psychology 3:429. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2012.00429 (CC BY・2026年9月14日に利用)
検証の記録(常識検証プロトコル v1.0)
命題化テスト(T1〜T5)

命題を選ぶ前に、次の5項目を通した。T4 の自己申告は、命題を採用するかどうかを決める前に書いた。

#テスト本話での判定
T1「Xすると Y になる」に書き直せるか合格。 「自分の学習スタイル(視覚型・聴覚型など)に合った方法で教わる(X)と、合わない方法で教わるより成績が上がる(Y)」に書き直せる
T2Y が観測できる形になっているか合格。 Y は同じテストの点数の差として測れる。実験では、参加者を質問紙でスタイルに分け、合った教え方と合わない教え方に割り付けて、同じ形式のテストで比べる。差は効果量(Hedges' g)として数値になる
T3一次データ源が存在しそうか(あたり2本以上)合格。 着手前に ①2024年に出た「合わせる仮説」の系統的レビューとメタ分析(Frontiers in Psychology・CC BY) ②同じ設計で小学5年生を調べた2020年の実験(Frontiers in Psychology・CC BY) ③教員がこの考えをどれだけ信じているかの2012年の調査(Frontiers in Psychology・CC BY)の3本を立てた。いずれも L2 で、Europe PMC から全文 XML が取れる
T4どちらに転んでも番組になるか(自己申告を先に書く)「支持なら、『神話』と呼ばれてきた考えに実験の裏付けがあった、では効果はどれくらいの大きさか、を示す回になる。不支持なら、教員の9割が信じている考えに実験の裏付けが無い、では何が『合った』と感じさせているのか、を示す回になる。保留なら、『合わせると上がる』と『ある教え方が誰にでも良い』を実験で見分ける方法(交差)と、その見分けがどこまで付いているか、という『測り方』の回になる。どれでも番組は成立する。」
T5YMYL 該当か(健康・医療・金銭・法律)非該当。 勉強法は健康・医療・金銭・法律のいずれにも当たらない。ただし「認知特性」は発達の支援の文脈でも使われる言葉で、視聴者の子どもや本人の評価に接続しうるため、§8 の規律(個別の助言をしない・断定しない・決着が付かないものを無理に決着させない)は自主的に全項目適用する
証拠台帳

```

検証回ID: M10-20260922-15

命題: 「自分の学習スタイル(視覚型・聴覚型など)に合った方法で教わると、合わない方法で教わるより成績が上がる」

命題の出所: 本田真美『医師のつくった「頭のよさ」テスト』(光文社・2012年)、ベネッセ教育情報・スタディサプリ進路・STUDY HACKER の記事

判定: 判定保留

判定日: 2026-09-14

```

#階層種別出典名URL実測日時(JST)HTTP取得方法再利用条件採否採否の理由
1L2系統的レビューとメタ分析Clinton-Lisell V, Litzinger C. Is it really a neuromyth? A meta-analysis of the learning styles matching hypothesis. Front Psychol. 2024;15:1428732https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.14287322026-09-14 02:07(core)・02:08(fullTextXML)200curl → Europe PMC REST API(core JSON・全文 XML)CC BY(商用利用可・出典表記義務)採用(判定の主柱)命題を直接検証した21研究の合算。合算値と交差の頻度の両方の転記元
2L2一次研究(実験)Rogowsky BA, Calhoun BM, Tallal P. Providing Instruction Based on Students' Learning Style Preferences Does Not Improve Learning. Front Psychol. 2020;11:164https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.001642026-09-14 02:09(fullTextXML)・02:15(core)200同上CC BY採用(R1 として)Pashler の基準に沿った実験で交差が出なかった記録。台帳#1 の組み入れ研究の1つでもある
3L2一次研究(調査)Dekker S, Lee NC, Howard-Jones P, Jolles J. Neuromyths in Education: Prevalence and Predictors of Misconceptions among Teachers. Front Psychol. 2012;3:429https://doi.org/10.3389/fpsyg.2012.004292026-09-14 02:09(fullTextXML)・02:15(core)200同上CC BY採用(命題の流通の記録として)教員の93%・96%が同意した記録。効果の根拠には使わない
4L2一次研究(前後比較・対照群なし)Chinnapun D, Narkkul U. Enhancing Learning in Medical Biochemistry by Teaching Based on VARK Learning Style for Medical Students. Adv Med Educ Pract. 2024;15:895-902https://doi.org/10.2147/amep.s4725322026-09-14 02:12200curl → Europe PMC REST API(core・要旨)CC BY-NC(非商用のみ。図には使わない)不採用(R2・R4 の記録として台帳にのみ残す)医学生92人全員にスタイルに合わせた教材を配り、前後のテストの伸びを比べたもの。合わせない条件が無く、交差を検討できない。結論の「合わせた教え方は学習を高めうる」は命題の検証にならない
5L2総説Pashler H, McDaniel M, Rohrer D, Bjork R. Learning Styles: Concepts and Evidence. Psychol Sci Public Interest. 2008;9(3):105-119https://doi.org/10.1111/j.1539-6053.2009.01038.x2026-09-14 02:15(core)200curl → Europe PMC REST API(メタデータのみ)isOpenAccess: N・全文未取得不採用(台帳#1 が採用した検証基準の出所として書誌のみ記載)全文に当たれないため数値は転記していない。台帳#1・#2 が引用した範囲で言及する
6L2一次研究(調査)Husmann PR, O'Loughlin VD. Another Nail in the Coffin for Learning Styles? Anat Sci Educ. 2019;12(1):6-19https://doi.org/10.1002/ase.17772026-09-14 02:15(core)200同上(メタデータのみ)isOpenAccess: N不採用全文に当たれない。数値は使わない
7L2文献データベース検索Europe PMC 検索(学習スタイル・合わせる仮説・2024-07-11 以降)https://www.ebi.ac.uk/europepmc/webservices/rest/search2026-09-14 02:12200curl → REST API各論文のライセンスによるR2 の探索記録検索式は R2 欄。13件。台帳#1 の後に出た「合わせる/合わせない」の比較実験は見当たらなかった
8L2文献データベース検索Europe PMC 検索(学習スタイル・神話・OA)同上2026-09-14 02:07200同上同上R1 の探索記録検索式 TITLE:"learning styles" AND (TITLE:"myth" OR TITLE:"neuromyth" OR TITLE:"matching" OR TITLE:"meshing") AND OPEN_ACCESS:Y で6件。台帳#1 はここで出た
9L2文献データベース検索Europe PMC 検索(ノート・手書き/タイピング)同上2026-09-14 02:06200同上同上不採用候補の探索記録89件。元の研究(2014年)と直接再現(2021年)がともに isOpenAccess: N で、候補から外した根拠
10L5出版物の書誌(国立国会図書館サーチ OpenSearch API)本田真美『医師のつくった「頭のよさ」テスト : 認知特性から見た6つのパターン』光文社、2012.6、ISBN 978-4-334-03689-8(NDL 書誌ID 023674225)https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I0236742252026-09-14 02:11200curl → OpenSearch API(XML)NDL サーチの API は営利目的の利用に利用申請が要る(学習台帳 §1-A)。書誌の実在確認にだけ使い、図には使わない採用(命題の出所①として)根拠には使わない。書名の存在と発行年・発行者・ISBN の確認のみ
11L4企業の運営する媒体ベネッセ教育情報「認知特性を知れば子どもがもっと学びやすくなる」https://benesse.jp/kyouiku/special/ninchi/2026-09-14 02:11200curl各社の利用規約採用(命題の出所②として)根拠には使わない
12L4企業の運営する媒体スタディサプリ進路「認知特性が導くタイプ別学習のススメ【高校生なう】」https://shingakunet.com/journal/fromsapuri/20230710000006/2026-09-14 02:11200curl各社の利用規約採用(命題の出所③として)根拠には使わない
13L4企業の運営する媒体STUDY HACKER「あなたは文字派? 聴覚派? 6つの『認知特性』ごとに最適な勉強法教えます!」https://studyhacker.net/ninchi-tokusei-benkyo2026-09-14 02:11200curl各社の利用規約採用(命題の出所④として)根拠には使わない
反証チェック(R1〜R7)
R#探した対象探した範囲(検索式・DB名・年範囲)結果
R1反対の結論の一次研究(合わせても上がらない、または合わせない側が上回る)①Europe PMC・検索式 TITLE:"learning styles" AND (TITLE:"myth" OR TITLE:"neuromyth" OR TITLE:"matching" OR TITLE:"meshing") AND OPEN_ACCESS:Y(6件・台帳#8) ②AUTH:"Rogowsky" AND TITLE:"learning style"(1件) ③台帳#1 の Table 1・Table 2(組み入れ21研究の個票)該当あり(→台帳#2・台帳#1)。 ①2020年の小学5年生の実験では交差が出ず、視覚型の子どもが聞く条件でも読む条件でも高かった(教え方×スタイルの交互作用 p = 0.29)。②台帳#1 の Table 1 によれば、同じ著者の2015年の成人(25〜40歳・41人)の実験も、Pashler の基準に完全に沿った初めての研究として交差を見いだしていない(全文は isOpenAccess: N で未取得。台帳#1 と台帳#2 の記述による)。③台帳#1 自身の集計で、交差が出た指標は42のうち11。Cuevas & Dawson(2018)のように、片方の教え方がどちらのスタイルにも良かった(−2.87 と 2.13 で符号が逆)研究がある。反対向きの証拠は、支持側と同じ L2 の階層にある
R2より新しい/より大きい研究①Europe PMC・検索式 (TITLE:"learning styles" OR TITLE:"learning style") AND (FIRST_PDATE:[2024-07-11 TO 2026-09-14]) AND (matching OR meshing OR matched OR "crossover")(13件・台帳#7) ②TITLE:"learning style*" AND (TITLE:matching OR TITLE:meshing OR TITLE:matched OR TITLE:neuromyth) AND PUB_YEAR:[2024 TO 2026](0件)台帳#1 より新しい「合わせる/合わせない」の比較実験は見当たらなかった。 13件は医学生・看護学生のスタイル分布の調査、質問紙の翻訳版の検証、睡眠との相関などで、命題の設計(合った条件と合わない条件を同じテストで比べる)を持つものは無い。唯一「合わせて教えた」台帳#4(2024年・92人)は対照群が無い前後比較で、R4 に記す。台帳#1(21研究・1,712人)が現時点で最大の合算
R3撤回・取消・訂正Europe PMC の commentCorrectionList と全文 XML の is-retracted フラグ(台帳#1〜#3)。台帳#1 の要旨と本文の数値の突合撤回・訂正の記載は台帳#1〜#3 のいずれにも無い。 ただし台帳#1 は要旨と本文で合算値が食い違う(要旨 g = 0.31・信頼区間 0.05〜0.57・p = 0.02、本文 Results 節 g = 0.32・信頼区間 0.07〜0.57・p = 0.01)。感度分析の表(ρ = 0.8)は 0.32 で本文と一致するため、本話は本文の値を採り、要旨の値を併記した。また補助A(台帳#2)の交互作用の自由度が F(1, 38) と書かれ、主効果の F(1, 32) と食い違う(n = 34 なら 32 が整合)。どちらも結論の向きは変えない
R4測っていた指標のすり替え命題の Y(「成績が上がる」)と、台帳#1・#2・#4 が測った Y を並べて確認該当あり。ズれは3つ。 ①台帳#1 が測ったのは単回セッション直後のテストの点数で、命題の出所②〜④が言う「成績アップ」「暗記できるようになった」(日々の勉強の結果)ではない。定着は測られていない。②命題が本当なら出るはずの「交差」(視覚型には図が、聴覚型には音が、それぞれ上)と、合算した g = 0.32 は別の指標である。g が正でも交差が無ければ、片方の教え方が誰にでも良かっただけでありうる(Cuevas & Dawson の例)。③台帳#4 は「合わせない条件」を置いていないため、伸びが合わせたことによるのか、教材が増えたことによるのかを分けられない。この研究の「合わせた教え方は学習を高めうる」という結論は命題の検証になっていない
R5資金源台帳#1〜#3 の Funding・Conflict of interest 節利害関係者ではない。 台帳#1 はノースダコタ大学同窓会財団(Rose Isabella Kelly Fischer Professorship)、台帳#2 は National Science Foundation(Grant SBE-0542013)、台帳#3 は資金の記載なし。3本とも「商業的・金銭的な利益相反は無い」と申告。ただし台帳#1 は著者自身が「第一著者は博士課程で『学習スタイルは神話』と教わった」「第二著者は以前スタイル質問紙を使っていたが研究を知って使うのをやめた」と立場を開示しており、結論を出す側の先入観は正の効果を疑う方向にある。それでも合算は正の効果を検出しており、立場が結果を消す向きには働いていない。命題の出所②〜④は教育事業を営む企業の媒体で、根拠には使っていない
R6母集団のズれ対象者の年齢・国・分類の方法を視聴者と突き合わせズれは3つある。 ①台帳#1 の対象は大学生が中心で、小学5年生は2研究、高校生は1研究。日本の研究は含まれない(英語文献のみ)。②台帳#2 はアメリカの1校の5年生で、分類できた34人だけの分析。③どの研究も「はっきり視覚型」「はっきり聴覚型」に分類できる人だけを分析しており(台帳#1 では85%の研究が一部を除外、台帳#2 では68%が分類不能)、視聴者の多くはそもそも分類できない側にいる可能性がある
R7生存者バイアス/出版バイアス台帳#1 の漏斗プロット・Egger 検定・灰色文献の件数。除外された参加者の扱い該当あり。 ①出版バイアスの検定は有意でない(Egger b = −0.058、p = 0.11)が、灰色文献は21研究のうち2件で、著者は「それでも考慮すべき」と書いている。②分類できない参加者を除いた研究が85%あるため、残った標本は「スタイルがはっきりしている人」に偏っている。命題が当てはまるとしても、それは分類できた人の中での話になる。③学習活動の前にスタイルを測って本人に伝えた研究が大半(測定を後にしたのは3研究)で、「自分は視覚型だ」と知ったことによる期待が成績に混ざりうる。台帳#1 が引く Moser & Zumbach(2015)では、でたらめに告げたスタイルに「合わせた」教材でも成績が上がった(本話ではこの研究の原典に当たっていないため、台帳#1 の記述として扱う)
判定理由

判定: 判定保留

理由を3つに分けて書く。

1. 支持側と反対側の証拠が、同じ L2 の階層で、しかも同じ論文の中で食い違っている。 21研究・1,712人を合算すると、合わせた教え方は合わせない教え方を効果量 0.32(95%信頼区間 0.07〜0.57)で上回った。下限は 0 より上で、依存の仮定を変えても、運動感覚型の研究を除いても、準実験を除いても 0.32〜0.34 で動かない。ここだけ見れば支持である。 しかし命題が「自分のタイプに合わせる」ことの効果である以上、視覚型には図が、聴覚型には音が、それぞれ上でなければならない(交差)。その交差が出た指標は 42 のうち 11(26.19%)で、著者自身が「結論にはほど遠い」と書いている。ここだけ見れば不支持である。 合算の値と交差の頻度は、同じデータから出た2つの指標で、向きが違う。

2. 決着を付けるのに必要な質の研究が足りない。 What Works Clearinghouse の基準を満たした研究は 21 のうち 5。交差が出た研究の大半は基準を満たしていない。すべて単回セッションで、命題の出所が言う「成績アップ」に当たる定着は、どの研究も測っていない。研究間のばらつき(I² = 91.17)の源は、メタ回帰で説明できていない。保留の条件「両側とも L3 以下」には当たらないが、両側の L2 が、命題の Y(成績)を命題の意味(合わせることの効果・定着)で測り切れていない点は、第11話(確実性 very low)と同じ構造にある。

3. R1〜R7 を通すと、支持にも不支持にも倒せない。 反対向きに出たのは、Pashler の基準に完全に沿った実験(台帳#2)で交差が出なかったこと、Cuevas & Dawson のように片方の教え方が誰にでも良かった研究があること、分類できない参加者が除かれていること(R6・R7)、「自分は視覚型だ」と知った期待が混ざりうること(R7)。一方で、合算した効果が正であること、出版バイアスの検定で偏りが出なかったこと、著者の立場が正の効果を疑う側にあるにもかかわらず正の効果が検出されたこと(R5)は、不支持に倒すことを止める。

したがって、判定保留。 保留の主題は「合わせると上がる」と「ある教え方が誰にでも良い」を実験で見分ける方法(交差)であり、その見分けが 4 分の 1 の指標でしか付いていないこと、そして定着を測った研究が無いことである。

支持に倒さなかった理由: 合算値が正でも、それが「合わせた」ことの効果である証拠(交差)は指標の 4 分の 1 にしか無い。合算した論文の著者が「合わせることを正当化するために本研究を使うことには極めて慎重であるべき」と書いている結論を、番組が上書きしない。

不支持に倒さなかった理由: 反対側の一次研究(台帳#2)は 1 校の 34 人で、合算(1,712人)の正の効果を打ち消す大きさではない。合算の効果は感度分析でも消えず、出版バイアスの検定も偏りを示していない。「効果が無い」と言えるだけの証拠は無い。

この回で言えないこと: 特定の診断テスト(認知特性テスト・VARK など)が「当たっている」かどうかは、この記録には無い。合わせた教え方を数週間続けたらどうなるかも無い。日本の子どもや大人で同じ結果になるかも無い。図と音を両方使う教え方(マルチモーダル)が良いかどうかは、台帳#1 の著者が別のメタ分析を引いて推奨しているが、本話の命題ではない。

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