その習慣、本当に合ってる?
新卒の3割が3年で辞める、
は〇〇!?
大学を出て会社に入った人の3人に1人ぐらいが、3年以内に最初の会社を辞めている。この割合は、長い間ほとんど変わっていない。たとえば、毎年入る部活の新入部員のうち、3人に1人ぐらいが卒業前にやめていて、それが何年も同じ、というようなもの。
専門的に言うと(原典どおりの記録)
大卒の新卒は3人に1人が3年以内に最初の会社を離れる、は27年分の記録が支持する。ただし割合は30年ほど動いておらず、5人未満の事業所では6割近く、1,000人以上では3割を切る
- 対象
- 雇用保険の加入・喪失の行政記録の全数集計。「大学」は生年月日が平成12年4月1日以前で、令和4年3月1日から6月30日までに新規学卒として雇用保険に加入した人(大学院卒を含む)。離職は令和7年3月31日までに雇用保険の被保険者資格を失ったことで、「離職理由や離職後の就業の状態に関わらず離職者として算出」(解雇・倒産・契約満了を含む)。雇用保険の適用外の就職先(公務員など)は入っていないと推定される。若年者雇用実態調査は5人以上の常用労働者を雇う事業所に勤める15〜34歳への標本調査(有効回答 13,218人)
- 効果
- 令和4年3月大卒の就職者 449,012人のうち3年以内の離職者は 151,911人で 33.8%(1年目 12.1・2年目 11.9・3年目 9.9)。平成8年3月卒(1996年)から令和4年3月卒(2022年)までの27年分はすべて 28.8%(2009年卒)〜36.6%(2004年卒)の間。グラフの1987〜1994年卒は 23.7%(1992年卒)〜29.3% で30%未満、30%を超えるのは1995年卒 32.0% から。事業所規模別(大卒・令和4年3月卒)は 5人未満 57.5、5〜29人 52.0、30〜99人 41.9、100〜499人 33.9、500〜999人 31.5、1,000人以上 27.0。産業別上位は宿泊業・飲食サービス業 55.4、生活関連サービス業・娯楽業 54.7、教育・学習支援業 44.2、医療・福祉 40.8、小売業 40.4。高卒は1996年卒 48.1% から2022年卒 37.9% へ、中卒は 71.0% から 54.1% へ低下。若年者雇用実態調査では大学卒で「初めて勤務した会社で現在も働いている」64.5%・「勤務していない」34.1%、辞めた理由の上位は労働時間・休日・休暇 28.5%、人間関係 26.4%、賃金 21.8%、仕事が合わない 21.7%。令和5年3月卒の2年以内は 21.8%、令和6年3月卒の1年以内は 10.1% で前の卒業年より低い
- 限界
- 「離職」は本人が辞めた場合に限らず解雇・倒産・契約期間の満了を含み、命題の「辞める」より広い(割合を高く見せる向き)。分母は雇用保険に加入した人だけで、公務員などの適用外は入っていないと推定されるが、厚生労働省の説明文に明記は無い。「大学」の区分には大学院卒や上限年齢の無い既卒者も含まれる。就職者数は事業所の遡及手続きで1年目 448,485人・2年目 448,915人・3年目 449,012人と動く。1987〜1995年卒の値はグラフの数値ラベルから読み取った転記。令和5年・6年3月卒の3年以内の値は未公表。若年者雇用実態調査はいま雇われている人への調査で、辞めたあと働いていない人は分母にいない。国際比較は当たっていない。辞めた人のその後(転職先・収入・満足度)はこの統計に無い
- 見立
- 直近の卒業年で 33.8% と、3人に1人(33.3%)との差は 0.5 ポイント。27年分の幅 28.8〜36.6% はすべて「およそ3割」の中にあり、本人への標本調査でも大学卒の 34.1% が最初の会社を離れている。R1〜R7 で反対向きに出たのは、1987〜1994年卒が 30% 未満だったこと(命題は1995年卒以降にしか当てはまらない)と、直近2つの卒業年の途中経過が前の年より低いこと(3年目の値が出るまで判定材料にしない)。離職に解雇・倒産が含まれる点は割合を高く見せる向きだが、辞めた理由の上位4つは本人の側の判断で、命題の「辞める」の中心はそこにある。したがって支持。ただし支持されたのは「およそ3割」までで、出所が言う「30年間変わっていない」は1995年以降について合い、「七五三」の高卒5割・中卒7割は古い。平均の中には事業所規模の階段(27.0〜57.5%)があり、規模の差(30.5ポイント)は学歴の差(高卒 37.9 と大卒 33.8 で 4.1ポイント)よりはるかに大きい。辞めるべきか残るべきかは番組は一切言わない
図で読む
動画で使った図解を、クラタとミチの会話つきで。1枚ずつ読めば、要点が順に分かります。
ポイント①
「辞めた」って、どうやって数えているの?

クラタ: 会社は、人を雇うと国に届けを出します。辞めると、その届けが取り消される。厚生労働省は、その記録を毎年全員分数えています。
ミチ: アンケートじゃなくて、届けの記録なんですか?
クラタ: そうです。2022年、令和4年3月に大学を出て就職した人は449,012人。約45万人です。
ミチ: そのうち、3年以内に辞めた人は?
クラタ: 151,911人、約15万人です。割合にすると33.8%になります。
会社に届け出た記録が消えたかどうかを、厚生労働省が全員分数えると33.8%だった。
ポイント②
毎年、多い年も少ない年も、だいたい同じ?

ミチ: さっきの記事に「この30年間変わっていません」ってありましたけど、本当に毎年そうなんですか?
クラタ: 記事の「30年」はざっくりした言い方です。私たちが数えた表は27年分、1996年から。いちばん低い年が28.8%、いちばん高い年が36.6%です。
ミチ: 幅は、だいたい8ポイントくらい(36.6%から28.8%を引いた差です)。じゅうぶん「3割前後」ですね。
クラタ: たとえば、少ない年でも10人に3人ぐらい、多い年でも10人に4人ぐらいが辞めている、という幅です。
27年間、いちばん少ない年もいちばん多い年も、だいたい3割前後だった。
「3割」の中に、誰がいるの?

クラタ: 同じ「大卒3年以内」でも、勤め先の大きさで差があります。従業員5人未満の会社は57.5%です。
ミチ: 6割近くってことですか?
クラタ: はい。逆の端、従業員1,000人以上の会社では27.0%。3割を切るくらいです。
ミチ: 5人未満と1,000人以上で、ずいぶん差がありますね。
クラタ: 差にすると30.5ポイント。同じ「3割」でも、勤め先しだいで倍近く違うということです。
同じ「大卒3年以内」でも、勤め先の大きさで30.5ポイントの差がある。
ポイント③
この記録で、まだ言えないことは?

クラタ: 実は、この「離職」には、自分から辞めた人だけでなく、会社の倒産や、契約が終わった場合も入っています。
ミチ: え、辞めた人だけじゃないんですか?
クラタ: そうです。自分の意思で辞めた人だけの割合は、33.8%より少し低いはずです。それに、数えているのは、会社が国に届けを出している人だけなので、公務員などは、たぶん入っていません。
ミチ: 「大卒」って聞いて思い浮かべる人より、ちょっと範囲がちがうんですね。ほかにも、まだ分からないことはありますか?
クラタ: あります。いちばん新しい令和6年3月卒は、1年以内で見ると10.1%。1年前の令和5年卒は、同じ1年以内で10.9%でした。前の年より低い経路にありますが、3年目の記録はまだ出ていません。
「離職」は倒産や契約満了も含み、数えているのは会社が届けを出している人だけ。いちばん新しい卒業生の3年目までの記録もまだ出ていない。
結局、「3割」ってどういうこと?

ミチ: 大学を出た人の「3割」は、昔からずっと同じなんですか?
クラタ: 高校を出た人は、1996年の48.1%から2022年には37.9%へ下がりました。中学を出た人も、71.0%から54.1%へ下がっています。
ミチ: でも、大学を出た人は、あまり変わってないんですね。
クラタ: そうです。1996年は33.6%、2022年は33.8%。つまり、大学を出た人の「3割」だけは、27年間ほとんど動いていません。
ミチ: 「3割」は本当だけど、会社の規模ではずいぶん差がある、ということですね。
高校・中学の離職率は下がったが、大学の3割はほとんど変わっていない。
まとめ(つまり、どう考える?)
「3割前後」は本当だが、勤め先の大きさで57.5%から27.0%まで差がある。辞めたほうがいいかは、この記録からは言えない。
記事の全文を読む
「新卒は3年で3割辞める」を27年ぶん数えたら、いちばん低い年で28.8%、高い年で36.6%だった
今回の命題は 「大学を出て新卒で就職した人は、3人に1人が3年以内に最初の会社を辞める」 です。出所は2006年の新書『若者はなぜ3年で辞めるのか?』と、企業の媒体のコラム2本。コラムの一つは「この30年間変わっていません」と書き、もう一つは中卒7割・高卒5割・大卒3割の「七五三」を紹介しています。
数えたのは厚生労働省です。雇用保険の加入と喪失という行政記録から、毎年、新卒就職者の3年以内離職率を公表しています。標本調査ではなく、届け出のあった人の全数集計です。
最新は令和4年3月卒。大学を出て就職した 449,012人 のうち、3年以内に離れた人は 151,911人、33.8%。3人に1人(33.3%)との差は0.5ポイントです。1年目12.1%、2年目11.9%、3年目9.9%と、毎年1割前後ずつ離れていきます。
平成8年3月卒から令和4年3月卒までの27年分を並べると、最低は2009年卒の 28.8%、最高は2004年卒の 36.6%。幅は8ポイント弱で、どの年も「およそ3割」から外れていません。ただし、表より前のグラフを読むと、1987年卒28.4%、1992年卒 23.7% と、1987年から1994年までの8年は30%を下回っていました。「3年で3割」が当てはまるのは1995年卒からです。
七五三のほうは、半分が古くなっています。高卒は1996年卒の48.1%から2022年卒の37.9%へ、中卒は71.0%から54.1%へ下がりました。動いていないのは大卒の「三」だけです。
平均の中には階段があります。令和4年3月卒の大卒で、従業員5人未満の事業所は 57.5%、5〜29人52.0%、30〜99人41.9%、100〜499人33.9%、500〜999人31.5%、1,000人以上 27.0%。両端の差は30.5ポイント。産業では宿泊・飲食サービス55.4%、生活関連サービス・娯楽54.7%、教育・学習支援44.2%が高い側です。
限界を4つ。この「離職」は本人が辞めた場合に限らず、解雇・倒産・契約満了も含みます。分母は雇用保険に加入した人だけで、公務員などは入っていないと推定されます。「大学」の区分には大学院卒も入ります。直近の令和5年3月卒は2年以内21.8%、令和6年3月卒は1年以内10.1%で、前の年より低い経路にありますが、3年目の値はまだ出ていません。
本人に聞いた別の調査(令和5年若年者雇用実態調査・有効回答13,218人)でも、大学卒で「初めて勤務した会社で現在も働いている」は64.5%、「勤務していない」は34.1%。辞めた理由の上位は労働時間・休日・休暇28.5%、人間関係26.4%、賃金21.8%、仕事が合わない21.7%でした。
判定は支持です。 直近で33.8%、27年分が28.8〜36.6%に収まり、別の数え方でも3人に1人の近くに来ます。ただし支持されたのは「およそ3割」までで、それは1995年卒以降の話であり、事業所の規模で27.0%から57.5%まで開いています。辞めた人がその後どうなったか、辞めることが良いか悪いかは、この記録には書いてありません。
出典:「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」「新規学卒者の離職状況」「令和5年若年者雇用実態調査の概況」(いずれも厚生労働省・2026年9月12日に利用)を加工して ReeX Japan が作成(抜粋・差の計算)。
出典・研究の限界・ライセンス表示
この回の一次データは公的統計です。学術論文の論文カードはありません。
出典表示(ライセンス表示義務)
この回が使った一次情報の利用条件が求める4項目を、出典ごとに全件出しています(2件)。
データカード: 1-2. データカード(一次情報・主たる評価対象)[1枚目]
- 著者
- 厚生労働省(資料出所の表記は「厚生労働省職業安定局集計」)
- 出典
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」報道発表資料(令和7年10月24日・人材開発統括官付 若年者・キャリア形成支援担当参事官室)と、同省サイト「新規学卒者の離職状況」に置かれた「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」(表)・「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況」(表)・「学歴別就職後3年以内離職率の推移」(グラフ)/報道発表 PDF https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001580844.pdf / 在職期間別の表 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001318985.pdf / 大卒・事業所規模別の表 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001319018.pdf / 索引ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html
- ライセンス
- 公共データ利用規約(第1.0版)PDL1.0(厚生労働省「利用規約・リンク・著作権等」ページに明記。商用利用可、出典の記載が必要、編集・加工した場合はその旨を出典とは別に記載する義務あり)。URL: https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html (2026-09-12 22:52 JST・HTTP 200)
- 改変の有無
- この回の図解は、原典の図の複製ではなく、原典の表から転記した数値をもとに当方が作図した(転記元: 「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(厚生労働省・令和7年10月24日)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html (2026年9月12日に利用)を加工して ReeX Japan が作成(事業所規模別の表から高校・大学の6区分を抜粋。値は資料のまま)。再利用条件は公共データ利用規約 第1.0版(PDL1.0))。原本の出典表記が、原典データを加工して当方が作成した旨を明示している(下の「原本の出典表記」を参照)。
データカード: 1-2. データカード(一次情報・主たる評価対象)[2枚目]
- 著者
- 厚生労働省
- 出典
- 厚生労働省「令和5年(2023年)若年者雇用実態調査の概況」(個人調査・表16「初めて勤務した会社で現在も働いているかの有無」・表17「初めて勤務した会社をやめた主な理由」)/https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaikyou.pdf
- ライセンス
- 同上(PDL1.0)
- 改変の有無
- 原本の出典表記が、原典データを加工して当方が作成した旨を明示している(下の「原本の出典表記」を参照)。
原本の出典表記(読み上げ・画面表示用の文言)
- 出典:「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html (2026年9月12日に利用)
- 出典:「新規学卒者の離職状況」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html (2026年9月12日に利用)を加工して ReeX Japan が作成(抜粋・差の計算)
- 出典:「令和5年若年者雇用実態調査の概況」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaikyou.pdf (2026年9月12日に利用)
検証の記録(常識検証プロトコル v1.0)
命題化テスト(T1〜T5)
命題を選ぶ前に、次の5項目を通した。T4 の自己申告は、命題を採用するかどうかを決める前に書いた。
| # | テスト | 本話での判定 |
|---|---|---|
| T1 | 「Xすると Y になる」に書き直せるか | 合格。 「大学を出て新卒で就職する(X)と、3人に1人は3年以内に最初の会社を離れる(Y)」に書き直せる |
| T2 | Y が観測できる形になっているか | 合格。 Y は厚生労働省が雇用保険の加入・喪失の記録から毎年集計し、「新規学卒就職者の就職後3年以内離職率」として公表している。昭和62年3月卒(1987年)から令和4年3月卒(2022年)まで、学歴別・事業所規模別・産業別の値がある |
| T3 | 一次データ源が存在しそうか(あたり2本以上) | 合格。 着手前に ①厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(雇用保険の行政記録の集計・PDF で配布) ②厚生労働省「若年者雇用実態調査」(個人調査・初めて勤務した会社に今も勤めているか、辞めた理由) ③厚生労働省「雇用動向調査」(常用労働者の入職率・離職率)の3系統を立てた。いずれも L1 で、公式サイトから直接ダウンロードできる |
| T4 | どちらに転んでも番組になるか(自己申告を先に書く) | 「支持なら、この数字は本当で、では『3割』の中に誰がいるのか(事業所の規模・産業・学歴でどれだけ違うか)と、『最近の若者は辞めやすくなった』が本当かを数え直す回になる。不支持なら、『3割』は古い数字で、今は何割なのかを示す回になる。保留なら、『辞める』と『離職』が同じものを数えていない、という『数え方』の回になる。どれでも番組は成立する。」 |
| T5 | YMYL 該当か(健康・医療・金銭・法律) | 非該当。 離職率は健康・医療・金銭・法律のいずれにも当たらない。ただし辞める理由の統計には「健康上の理由」が含まれ、進路の判断に接続する題材であるため、§8 の規律(個別の助言をしない・断定しない・決着が付かないものを無理に決着させない)は自主的に全項目適用する |
証拠台帳
```
検証回ID: M10-20260921-14
命題: 「大学を出て新卒で就職した人は、3人に1人が3年以内に最初の会社を辞める」
命題の出所: 城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社・2006年)、NTT東日本のコラム(2026-01-14)、リクルートワークス研究所のコラム
判定: 支持
判定日: 2026-09-12
```
| # | 階層 | 種別 | 出典名 | URL | 実測日時(JST) | HTTP | 取得方法 | 再利用条件 | 採否 | 採否の理由 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | L1 | 公的機関の報道発表(行政記録の集計) | 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」Press Release(令和7年10月24日・PDF・909KB) | https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001580844.pdf | 2026-09-12 22:48 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用 | 判定の主柱1。学歴別・事業所規模別・産業別上位5の3年以内離職率の転記元 |
| 2 | L1 | 同(報道発表の HTML ページ) | 同「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」 | https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html | 2026-09-12 22:48 | 200 | curl | PDL1.0 | 採用(#1 の照合用) | PDF の主要値(33.8・37.9・規模別)が HTML と一致することの確認。訂正・正誤の記載が無いことの確認(R3) |
| 3 | L1 | 公的機関の統計表 | 厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」(表・PDF・206KB・平成8年3月卒〜令和6年3月卒) | https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001318985.pdf | 2026-09-12 22:45 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用 | 判定の主柱2。大卒27年分の推移、就職者数・離職者数、1年目・2年目・3年目の内訳、令和5・6年3月卒の途中経過の転記元 |
| 4 | L1 | 公的機関の統計グラフ | 同「学歴別就職後3年以内離職率の推移」(グラフ・PDF・208KB・昭和62年3月卒〜) | https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001318986.pdf | 2026-09-12 22:45 | 200 | curl → pdftotext -layout(図中の数値ラベル) | PDL1.0 | 採用(R2 として) | 1987〜1995年3月卒の値の転記元。平成8年以降の27値が #3 の表と一致することを確認した上で採用 |
| 5 | L1 | 公的機関の統計表 | 同「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況」(表・PDF・364KB・平成15年3月卒〜) | https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001319018.pdf | 2026-09-12 22:45 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用 | 令和4年3月卒の規模別6区分が #1 と一致することの確認。「事業所」の定義の注の転記元 |
| 6 | L1 | 公的機関の統計表 | 同「新規大学卒業就職者の産業別離職状況」(表・PDF・470KB) | https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001319024.pdf | 2026-09-12 22:45 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用(確認用) | 産業別は就職者数・離職者数の実数のみで割合は載っていない。割合は #1 の上位5産業の値を使い、この表から新しく割り算をしていない |
| 7 | L1 | 公的機関の統計表 | 同「新規高卒就職者の事業所規模別離職状況」(表・PDF・364KB) | https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001319002.pdf | 2026-09-12 22:45 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用(確認用) | 高卒の規模別6区分が #1 と一致することの確認 |
| 8 | L1 | 数え方の説明 | 同 索引ページ「新規学卒者の離職状況」(資料出所及び離職率の集計の考え方) | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html | 2026-09-12 22:44 | 200 | curl → HTML | PDL1.0 | 採用(R4・R6・R7 の根拠として) | 「離職理由や離職後の就業の状態に関わらず」「生年月日が平成12年4月1日以前」など定義の転記元 |
| 9 | L1 | 公的統計(標本調査) | 厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」(PDF・556KB) | https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaikyou.pdf | 2026-09-12 22:50 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 採用(R1・R4 として) | 別の数え方(本人への調査)で「初めて勤務した会社に今も勤めているか」を見る。辞めた理由の上位4つの転記元 |
| 10 | L1 | 公的統計 | 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(PDF・490KB) | https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf | 2026-09-12 22:53 | 200 | curl → pdftotext -layout | PDL1.0 | 不採用 | 常用労働者全体の入職率・離職率(年齢階級別は転職入職率)で、新卒に絞った3年以内の指標が無い。本話の Y と一致しないため根拠に使わない |
| 11 | L3 | 再利用条件 | 厚生労働省「利用規約・リンク・著作権等」 | https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html | 2026-09-12 22:52 | 200 | curl | (規約そのもの) | 採用(条件確認) | PDL1.0 の適用と出典記載様式(加工した場合は別記)の確認 |
| 12 | L5 | 出版物の書誌(国立国会図書館サーチ OpenSearch API) | 城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか? : 年功序列が奪う日本の未来』光文社、2006.9、ISBN 4-334-03370-9(NDL 書誌ID 000008300670) | https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008300670 | 2026-09-12 22:50 | 200 | curl → OpenSearch API(XML) | NDL サーチの API は営利目的の利用に利用申請が要る(ヘルプ「17. APIのご利用について」・2026-09-12 22:52・HTTP 200)。本話は書誌の実在確認にだけ使い、図には使わない | 採用(命題の出所①として) | 根拠には使わない。書名の存在と発行年・発行者の確認のみ |
| 13 | L4 | 企業の運営する媒体 | NTT東日本「なぜ多くの新卒社員は3年で退職してしまうのか?」(2026-01-14) | https://business.ntt-east.co.jp/column/bizdrive/new-graduate-early-quits.html | 2026-09-12 22:51 | 200 | curl | 各社の利用規約 | 採用(命題の出所②として) | 根拠には使わない |
| 14 | L4 | 企業の研究所のコラム | リクルートワークス研究所「新卒3年以内離職率の高卒-大卒格差に潜む、本当の社会課題」 | https://www.works-i.com/column/works03/detail047.html | 2026-09-12 22:51 | 200 | curl | 各社の利用規約 | 採用(命題の出所③として) | 根拠には使わない。「七五三」の定義の引用元 |
| 15 | L2 | 査読付き文献データベース | Europe PMC 検索(日本・新卒・離職) | https://www.ebi.ac.uk/europepmc/webservices/rest/search | 2026-09-12 22:53 | 200 | curl → REST API | 各論文のライセンスによる | 不採用 | 検索式 (Japan AND ("new graduate" OR "newly graduated" OR "early career") AND (turnover OR "intention to leave" OR resignation)) AND OPEN_ACCESS:Y で 524件。上位25件は看護師・医療従事者の離職研究で、新卒就職者全体の3年以内離職率を扱った研究は無かった。詳細は R1 |
反証チェック(R1〜R7)
| R# | 探した対象 | 探した範囲(検索式・DB名・年範囲) | 結果 |
|---|---|---|---|
| R1 | 反対の結論の一次データ(=3人に1人より明らかに少ない、または多いことを示すもの) | ①主柱2の27年分の推移(平成8年〜令和4年3月卒)と、グラフの1987〜1995年の値 ②若年者雇用実態調査(本人への調査)の「初めて勤務した会社で現在も働いているか」 ③Europe PMC REST API・検索式は台帳#15・524件中上位25件を目視 | 一部該当あり(→台帳#4・#9)。 ①1987年3月卒から1994年3月卒までの8年は 23.7%〜29.3% で、命題は1994年以前の卒業者には当てはまらない(平成4年3月卒は 23.7%)。1995年3月卒(32.0%)以降の28年分は 28.8%〜36.6% で命題と合う。②若年者雇用実態調査では、在学していない若年労働者のうち大学卒で「初めて勤務した会社で現在も働いている」が 64.5%、「勤務していない」が 34.1%。対象は15〜34歳で就職後3年に限らないため直接の反証ではないが、別の数え方でも「3人に1人」の近くにある。③Europe PMC は看護師の離職研究が中心で、新卒全体の割合を扱う研究は無かった |
| R2 | より新しい/より大きいデータ | ①令和5年3月卒・令和6年3月卒の途中経過(台帳#3・令和7年6月時点) ②令和5年若年者雇用実態調査(台帳#9)と平成30年・平成25年調査の比較値 | 該当あり。結論は変わらないが、向きは記録しておく。 令和5年3月卒の2年以内離職率は 21.8% で、令和4年卒の同時点 23.9%・令和3年卒の 24.5% より低い。令和6年3月卒の1年以内も 10.1% で、令和5年卒 10.9・令和4年卒 12.0・令和3年卒 12.2 より低い。直近2つの卒業年は、前の年より低い経路にある。 3年以内の最終値は未公表(§「未確認」)。若年者雇用実態調査の「初めて勤務した会社で現在も働いている」は 平成25年 51.8% → 平成30年 50.9% → 令和5年 55.5% で、直近は上がっている |
| R3 | 撤回・取消・訂正 | ①報道発表の HTML(台帳#2)と PDF(#1)の主要値の突合 ②各 PDF の注記の全文検索(「訂正」「正誤」「修正」) ③在職期間別の表の注1〜注3 | 訂正・正誤の記載は無し(台帳#1〜#3・#9・#10 のいずれにも「訂正」「正誤」の語は無かった)。 ただし統計そのものに遡及の変動がある。注1「事業所が雇用保険の加入手続きを遡って行った等の理由により、1年目、2年目、3年目で若干の変動がある」のとおり、令和4年3月大卒の就職者数は1年目 448,485 人・2年目 448,915 人・3年目 449,012 人と動いている。本話は3年目までの値だけを使った |
| R4 | 測っていた指標のすり替え | 命題の Y(「最初の会社を辞める」)と、主柱が測っている Y を並べて確認 | 該当あり。ズれは3つ。 ①主柱が数えているのは「雇用保険の被保険者資格を失った」ことで、離職理由を問わない(「離職理由や離職後の就業の状態に関わらず離職者として算出」)。本人が辞めた場合だけでなく、解雇・倒産・契約期間の満了も入る。若年者雇用実態調査の辞めた理由には「倒産・解雇」「雇用期間の満了」の選択肢がある。命題の「辞める」より広い。 ②「最初の会社」ではなく「新規学卒として雇用保険に加入した事業所」を離れたかどうかで数えている。③「3人に1人」は 33.3% であり、令和4年3月卒の 33.8% とは 0.5 ポイントの差。27年分の幅(28.8〜36.6%)の中に 33.3% が入るので、命題を「およそ3割」の意味で読めば合う。①のズれは割合を高く見せる向きで、判定を支持側に寄せる方向に働く点は §1-5 に書いた |
| R5 | 資金源 | 主柱と補助の作成者を確認 | 利害関係者ではない。 主柱は厚生労働省職業安定局の行政記録の集計で、調査費を出す民間の資金提供者はいない。ただし同省は報道発表で「新卒応援ハローワークなどで、引き続き、新規学卒就職者に対する職場定着支援」を行うと書いており、この数字を下げる施策を担う側でもあることは記録しておく。命題の出所②③は企業とその研究所のコラムで、根拠には使っていない |
| R6 | 母集団のズれ | 対象者の年齢・雇用形態・就職先の種類・事業所規模を視聴者と突き合わせ | ズれは3つある。 ①主柱の「大学」は「生年月日が平成12年4月1日以前」で新規学卒として加入した人で、大学院卒や上限年齢の無い既卒者も含む(学歴は加入届の情報から推定)。②雇用保険に加入した人だけが分母なので、雇用保険の適用外の就職先(公務員など)は入っていないと推定される(§「未確認」)。③若年者雇用実態調査は5人以上の常用労働者を雇う事業所にいま勤めている15〜34歳への調査で、辞めて働いていない人・4人以下の事業所にいる人は入っていない。視聴者と同じ国・同じ時代の記録である点は有利 |
| R7 | 生存者バイアス/出版バイアス | 記録されない人・記録され方の偏りを確認 | 該当あり。 ①雇用保険に加入しない働き方(週20時間未満の短時間、業務委託、公務員)で最初の仕事を始めた人は、はじめから分母にいない。②辞めた後に働いていない人は若年者雇用実態調査の分母にいない(事業所を通じた調査のため)。「勤務している 55.5%」は、いま雇われている人の中での割合である。 ③事業所規模「5人未満」は令和4年3月卒の3年目までの離職者が 3,524 人で、規模計の離職者 151,911 人に対して小さく、平均 33.8% はほぼ 100人以上の事業所で決まる。「平均で隠れている人」がいる構造は R4 と合わせて台本に入れた |
判定理由
判定: 支持
理由を3つに分けて書く。
1. 直近の卒業年で、3人に1人に当たる。 令和4年3月に大学を卒業して就職した 449,012 人のうち、3年以内に離職した人は 151,911 人で 33.8%。命題の「3人に1人」(33.3%)との差は 0.5 ポイント。数え方は標本調査ではなく、雇用保険の加入・喪失という行政記録の全数集計で、L1 の中でも階層が高い。
2. 27年分を並べても、幅は 28.8%〜36.6% に収まる。 平成8年3月卒(1996年)から令和4年3月卒(2022年)まで、最低は 2009年卒の 28.8%、最高は 2004年卒の 36.6% で、幅は 8 ポイント弱。どの年を取っても「およそ3割」から外れない。 別の数え方(若年者雇用実態調査・本人への標本調査)でも、大学卒で「初めて勤務した会社で現在も働いている」は 64.5%、「勤務していない」は 34.1% で、対象期間が3年に限らないにもかかわらず同じ近くにある。
3. R1〜R7 を通しても、命題の中心は覆らない。 反対向きの証拠として出たのは、1987〜1994年卒の 23.7%〜29.3%(命題は当時の卒業者には当てはまらない)と、直近2つの卒業年の途中経過が前の年より低いこと(R2)である。前者は命題がいつから当てはまるようになったかの話で、後者は3年目の値が出るまで分からない。R4 の「離職には解雇・倒産も含まれる」は割合を高く見せる向きだが、若年者雇用実態調査で辞めた理由の上位4つは労働時間・人間関係・賃金・仕事が合わない、であり、命題の「辞める」の中心はそこにある。
したがって、命題は支持。 ただし支持されたのは「3人に1人が3年以内に離れる」までであって、出所②が言う「この30年間変わっていません」は、1995年以降について合っており、それ以前には合っていない。 また出所③の「七五三」のうち高卒の「5割」は、1996年3月卒の 48.1% から2022年3月卒の 37.9% へ 10 ポイント下がっており、中学の「7割」も 71.0% から 54.1% へ下がっている。大卒の「3割」だけが動いていない。
不支持に倒さなかった理由: 命題を「ちょうど 33.3%」と読めば 33.8% は一致しないが、命題の出所①〜③はいずれも「3割」「3人に1人」という丸めた言い方で流通しており、27年分の値がすべて 28.8〜36.6% の間にあることは、丸めの範囲に入っている。R2 の途中経過は、3年目の値が出るまで判定材料にしない。
保留に倒さなかった理由: 主柱は L1 の行政記録で、データ源は A 判定(公式サイトから直接取得できた)。母集団のズれ(R6)は向きが分かっており、命題の対象(大学を出て新卒で就職した人)と主柱の対象(新規学卒として雇用保険に加入した大学卒)は、公務員などの適用外を除けば重なる。プロトコル §4-3 が保留の条件に挙げる3つ(両側とも L3 以下/母集団がズれている/データ源が D)のどれにも当たらない。
この回で言えないこと: 辞めた人がその後どうなったか(転職先・収入・満足度)は、この統計には無い。辞めることが良いか悪いかも、この統計からは分からない。日本の新卒が他国より辞めやすいかどうかも、本話では当たっていない。
